賃貸物件を借りる際、入居者は退去時に室内を入居前の状態に戻す原状回復義務を負います。
部屋の雰囲気を自分好みに変えたいと考えているものの、原状回復の範囲がよくわからない方も多いでしょう。
そこで今回は、賃貸物件の壁において、画鋲そのほかの跡、タバコによるシミやにおいの原状回復について解説します。
賃貸物件の壁に画鋲で穴を開けたときの原状回復義務
原状回復でしばしば問題となるのが、壁に用いる画鋲の存在です。
壁に画鋲を刺せば小さな穴が開いてしまいますが、ポスターやカレンダーなどの画鋲跡は「通常の損耗」と考えられ、入居者の原状回復は問われません。
そのため、このケースにおける修繕費用は原則として大家負担です。
ただし、壁に棚を設置するためのネジや釘などの穴は、通常の使用とは見なされず、退去時に入居者負担で修繕することになります。
あくまでも賃貸物件の部屋は大家の所有物にあたるため、壁に穴を開ける際は前もって了解を得ておきましょう。
賃貸物件の壁におけるカレンダーや冷蔵庫の跡の原状回復義務
賃貸物件に長年住んでいると、壁に貼ったポスターやカレンダーの周囲が太陽光や蛍光灯で焼け、跡が残ることがあります。
また、冷蔵庫の跡が残ってしまうこともあるでしょう。
このような壁紙にポスターやカレンダー、冷蔵庫の跡が付いてしまった場合も、自然な経年劣化によるものと見なされます。
したがって、入居者が原状回復義務を問われることはありません。
経年による壁紙の変色は大家負担で修繕することになります。
賃貸物件の壁に付いたタバコの黄ばみやにおいの原状回復義務
賃貸物件の室内でタバコを吸い続けると、壁紙に黄ばみやにおいが染み付いてしまいます。
このようなケースでは入居者がクリーニング費用を負担しなければならず、場合によっては敷金以上の費用を請求されかねません。
ただし、壁紙は6年で残存価値が1円になるので、壁紙全体の貼り替え費用をすべて支払わなければならない可能性は低いでしょう。
想定外の費用を負担せずに済むよう、室内でタバコを吸う場合は空気清浄機を設置する、こまめな掃除・換気をおこなう意識が大切です。
まとめ
賃貸物件の入居者には原状回復義務が課されますが、画鋲やカレンダーの跡など、通常使用の損耗の範囲内であれば修繕費を負担する必要はありません。
しかしタバコによる黄ばみやにおいなど、入居者の費用負担となるケースもあるので、賃貸物件を借りる際には契約書の内容をしっかり確認しましょう。
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